Quantcast
Channel: 宇都宮餃子連
Viewing all articles
Browse latest Browse all 126

中国農薬餃子が宇都宮餃子に残した影響 (4)

$
0
0
中国農薬餃子が宇都宮餃子に残した影響 (4)
 
家計調査における「ぎょうざ」購入金額で、浜松が宇都宮餃子を猛追している大きな理由が、宇都宮と浜松の餃子事情の違いによると思われるのだが、もうひとつ、浜松に有利な事情がある。それは、浜松の人々による、浜松餃子の発見(再発見)である。
 
長い間、浜松は、家計調査には登場していなかった。家計調査では、単独で集計する都市を、県庁所在地および政令指定都市に限っている。これ以外の市町村は、全国集計や地域別(北海道、東北、など)、都市規模別(大都市、中都市、など)の集計の中に組み込まれている。浜松が政令指定都市になったことで、昨年から単独に集計される都市の仲間入りを果たした。いままで不明だった、浜松の「ぎょうざ」購入額がわかるようになったわけだ。
 
浜松が、家計調査の集計対象都市になる予定の前年、浜松市は、独自調査をもとに「浜松こそ餃子消費額日本一」を宣言した。かなり強引な日本一宣言だったが、マスコミがこれを取り上げ「餃子の町と言えば宇都宮だと思っていたが、実は浜松だったんですね」などという情報が強力にインプットされた。浜松市の人も、「そうだったんですか、はじめて聞きました」と、日頃は気にもしなかった浜松の餃子を再発見した。
 
 
「宇都宮を餃子の町として全国に宣伝しよう」と宇都宮市の協力で宇都宮餃子会が設立されたのは1993年5月、同じ年の10月からテレビ東京の「おまかせ!山田商会」が「宇都宮餃子大作戦」が放送される。これをきっかけに、宇都宮の餃子は「宇都宮餃子」として広く認知されるようになった。宇都宮が餃子の町であることを、全国の人たちが認識したとき、宇都宮の消費者もまた宇都宮餃子が日本一であることを認識した。
 
1992、93年と宇都宮の「ぎょうざ」の購入額は3500円程度だが、それでも調査開始以来の最高額を更新していた。宇都宮餃子ブームに火がついた1994年には3972円を記録した。宇都宮の消費者による宇都宮餃子の発見によって、4000円の大台越えも間近と思われた。
 
だが、思いもかけぬ事態が起きた。さらに、躍進するとみられていた「ぎょうざ」の購入額だったが、逆に、翌年は3012円と失速、連勝記録もストップしてしまったのだ。代わってトップに躍り出たのは、当時、宇都宮のライバル視されていた静岡だった。
 
このことは、「餃子の町・宇都宮が王座陥落」と報じられた。原因をマスコミに聞かれた餃子会も、「宇都宮餃子の店では売れているのに」と首を傾げるばかりだった。当時は、家計調査の「ぎょうざ」の項目についての認識が十分でなく、漠然と自分たちの店の売り上げがカウントされていると思い込んでいた。伸びている売上と、下がった統計に、戸惑うばかりだった。家計調査の「ぎょうざ」が、スーパー・惣菜店などの調理済み餃子を対象にしていると認識してしまえば、この矛盾が矛盾でもなんでもなく、いままでスーパー・惣菜店などで購入していた消費者が、餃子店の餃子に流れた結果だということがわかる。宇都宮市の消費者による宇都宮餃子の発見は、家計調査の「ぎょうざ」購入額をダウンさせ、王座陥落をもたらしたのである。この落ち込みは、しかし、翌年には回復し、その後現在に至るまで、首位の座を譲ってはいない。2006年には5000円の大台に乗せ、2位以下の倍近い金額を記録するに至った。宇都宮においては、餃子店の餃子のみならず、スーパー・惣菜店などの「ぎょうざ」を含めて、餃子全般の消費が増え続けたのである。
 
浜松の消費者による浜松餃子の発見は、かつての宇都宮と同じく、「ぎょうざ」の購入額を押し上げることだろう。しかも、浜松では、スーパー・惣菜店などでも浜松餃子を購入できるという宇都宮にはない特徴がある。「ぎょうざ」購入額への影響はより直接的である。浜松は、「ぎょうざ」購入額のさらなる伸びを期待できる。すでに、成熟した環境にある宇都宮に追いつき追い越すチャンスは十分にあると見なければならない。イメージ 1

Viewing all articles
Browse latest Browse all 126

Trending Articles