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Channel: 宇都宮餃子連
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セブンイレブンに餃子W弁当が並ぶ風景(宇都宮餃子の風景5)

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セブンイレブンに餃子W弁当が並ぶ風景(宇都宮餃子の風景5)
 
餃子と弁当、これをミスマッチと感じる人は多いはずだ。餃子は、焼き立てこそおいしい。冷めると皮が固くなる、匂いがきつくなる。温かけれれば温かいで、持ち歩こうものなら周囲に匂いが発散する。餃子だということが一発でばれる。その、やっかいな餃子弁当を販売しようという勇気ある?コンビニが出現した。セブン-イレブンである。
 
セブン-イレブンは、このほど宇都宮餃子会の監修の下、「自家製餃子W弁当」を発イメージ 3売する。宇都宮餃子の弁当版を追求した「もちもちとした食感の皮」から「大きめにカットした野菜」で「ジューシーであっさりした中具」まで、すべてをセブン-イレブンの自工場で作っているというご自慢の一品だという。餃子のプロである宇都宮餃子会の理事たちが、「専門店とは違うが」と言いつつも、「これ以上の弁当はない」と太鼓判をおしたほどである。「焼き立てでなくてもおいしい」「自家製餃子W弁当」は、11月2日から宇都宮市内限定で発売される。3日~4日は、宇都宮餃子祭りである。ひと皿100円で食べられる宇都宮餃子が大集結する。この際だから、480円の弁当と食べ比べてみるのも一興だろう。
 
イメージ 1
ところで、焼餃子12個とライスからなるこの弁当、「自家製餃子W弁当」とネーミングされている。12個の餃子はちょうど2人前、これにご飯を組み合わせたものを、宇都宮ではW(ダブル)ライスと称する。名前でも宇都宮餃子にこだわっているわけだ。
 
「ダブルライス」は、いまでは宇都宮餃子を食べに行くと常識のように使用されているが、実はある餃子店の符牒だった。宇都宮では注文の仕方まで独自の餃子文化があるとマスコミで紹介され、広まっていった。餃子はラーメンのサイドメニューとして存在するとしてしか意識されていないことが当たり前の中、宇都宮では「餃子が主役」であることを象徴しているようにとらえられた。初めは「ダブルライスと注文するとライスが二つくるのでは?」と戸惑った人もいたようだが、いまでは、宇都宮中の餃子店で「ダブルライス」と注文する声が聞こえるようになっている。
 
「ダブルライス」という言葉を発明?したのは、言わずと知れた宇都宮みんみん。同店では餃子1人前はシングル、2人前、3人前はダブル、トリプルである。ダブルなら、餃子は2人前が一皿盛りで出てくる。2人前でも別皿の場合、「焼二つ」と変わる。「焼餃子2人前とライス」と注文するのは野暮で、「ダブルライス」と頼むのが常連の証で粋とされた。
 
みんみんでこの符牒が生まれたのは、みんみんが餃子専門店だったからである。餃子専門店だから、メニューは、餃子3種類とライスだけ、単純な分符牒化しやすかった。加えて、その忙しさである。例えばランチタイム、短時間にスピーディーに進めなければ、薄利多売の餃子店はやっていけなかった。一時に殺到する注文をさばくため、独自の符牒を使いだしたのだ。
 
イメージ 2
お客が来たとする。○○番のテーブルに座った3名の注文はこうである。
 A 焼餃子2人前と水餃子1人前とライス
 B 焼餃子1人前と揚餃子1人前とライス
C 焼餃子1人前と、水餃子1人前と半ライス
注文を確認した店員は、「○○番さん、ダブル・シングル、ヤキ・アゲ、スイふたつ、ライスふたつと半ライス」と、それを大声で通す。すると、レジに控えている店員はすかさず読み上げをそのまま記号化して「WA(AB)C」とメモする。調理担当は、4人前を焼きはじめ、1人前をフライヤーに、2人前をお湯がたっぷり沸騰している寸胴(ナベ)に投入する。出来上がり間際に、「ライスと半ライス」とご飯担当に指示し、出来上がった餃子をカウンターに並べ、「ダブル・シングル、ヤキ・アゲ、○○番さん」と告げると、注文を聞いた店員がライスと餃子を○○番テーブルに運ぶのである。実にスムーズに素早く注文品が並ぶ。
 
この光景をみた、お客さんはビックリしたらしい。宇都宮のニンゲンにとっては当たり前だが、観光客には新鮮な光景で、「さすがは餃子の街」と感心もし、やがて「ヤキスイライスください」などと注文する人も増えた。やがて、みんみん以外の店でも普通に聞かれるようになり、とうとうセブンイレブンでも聞かれるようになったのだ。
 
宇都宮餃子の風景を歩く
風景にも歴史がある。そこには、その風景を作ってきた時の流れが積み重なっている。何気ない風景でも、その過去を探れば、歴史の1ページがよみがえる。風景を歩くことは、歴史を歩くことに繋がる。宇都宮餃子の風景を歩けば、宇都宮餃子の歴史が見えてくることだろう

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