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「悪名は無名に勝る」のか ―宇都宮餃子VS浜松餃子(4年間の検証)― 4 浜松市「餃子消費量日本一宣言」は「目立つためのシナリオ」だった

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「悪名は無名に勝る」のか ―宇都宮餃子VS浜松餃子(4年間の検証)―
 
  4 浜松市「餃子消費量日本一宣言」は「目立つためのシナリオ」だった
 
浜松市の「餃子消費量アンケート」と浜松餃子学会の「餃子消費量日本一宣言」を子細に検討してみたわけだが、そこから浮き上がってきたのは浜松市と浜松餃子学会の自作自演による「餃子消費量日本一」捏造疑惑である。これまで述べてきた事をまとめると以下のようになる。
 
①浜松市は「餃子消費量アンケート」の実施にあたって、調査対象者を恣意的に選定した。また、質問内容でも浜松市の餃子消費金額が高めに出るよう誘導した。
② 質問項目を細分化することで、勝手に二つの項目を合算することを可能にしておき、家計調査と明らかに異なる基準で合算した金額を、家計調査の「ぎょうざ」の金額だと偽った。
③ 単なるアンケートに過ぎない調査を、さも厳密な調査であるように装った。
 
こうして作り上げた金額を基に、テレビ番組や記者会見などで大々的に浜松市の「餃子消費量日本一宣言」をぶち上げたのである。だが、浜松市が日本一ではないことを承知しており、実際に家計調査で浜松市の金額が明らかになれば、この嘘はばれることも解っていた。のちに、浜松餃子学会の斎藤公誉会長自身がそのことを告白する。
 
浜松餃子学会の斎藤公誉会長は、「餃子消費量日本一宣言」について「大々的に『日本一宣言』すれば、関心が寄せられる。その後で『そうは言ってもやっぱり宇都宮の餃子はさすが』とばかりに、斎藤会長自ら宇都宮に出向いて『日本一へ改めて挑戦したい』といった『目立つためのシナリオ』を描いていたという」(2010年10月26日・J-CASTニュース)。
 
この発言は、浜松市が「日本一」ではないことを認識しつつ、あえて「餃子消費量日本一宣言」を行ったのであり、宇都宮の4倍の1万9402円は浜松をアッピールするための仕掛けであることを認めたものにほかならない。実際は「宇都宮餃子会の冷ややかな反応で、イベント性を狙った斎藤会長の思惑ははずれてしまった」(同上)わけだが、勝手なシナリオで、迷惑をまき散らしたのでは「それでも宇都宮にたいしては『敬意』をしめしており、『(宇都宮と浜松は)比較になるはずがありません』とまで口にした」(同上)としても、到底理解を得ることはできない。
 
浜松市も、「日本一」を宣言しつつ、実はそうではないだろうと考えていたようだ。市長自ら、「浜松市長の部屋」という公式ブログで、「何と浜松市では一家庭あたりの年間餃子購入額が19,403円という結果がでました。これは、宇都宮市の4千円の5倍近い驚くべき数字です」と書いた後に「近いうちに家計調査の結果がでます。そのときまだ日本一かどうかわかりませんが」と予防線を張っている(2007年2月5日)。「宇都宮市の4千円の5倍近い驚くべき数字」を信じていれば、こんな文章になるわけがない。
 
結局、仕掛けた浜松餃子学会も、その仕掛けに乗った浜松市も、浜松市の「餃子消費日本一宣言」に根拠がないことは、充分に認識していたらしい。それでも、話題つくりのため、突如として、しかも一方的に「餃子消費日本一宣言」を強行した。すべてはここから始まったのである。
 
こうまでする、浜松市と浜松餃子学会の意図はなんだったのだろうか。それは、「無名」であることの焦りだったろう。従来、宇都宮市のライバルと言われていたのは、静岡市だった。ともに静岡県に属していながら、県庁所在地でなく、また、政令指定都市でも後れをとっていたため、家計調査に浜松市の名前が出ることはなかった。浜松市が歯がゆい思いであっただろうことは想像に難くない。筆者は、浜松市の日本一宣言の前から、宇都宮市の真のライバルは浜松市ではないかと考えていた。必要があって、宇都宮市をはじめとする諸都市の餃子店の数を調査したことがある。浜松市は、宇都宮氏ほどではなかったが、静岡市をはるかに凌ぐ餃子店が存在している事を確認した。もし、浜松市が家計調査の集計単位のとしであれば、宇都宮市に次ぐ第二位のポジションに躍り出るであろうと思った。その浜松市だが、餃子での全国的な認識度は極めて低かった。無名であることの悲哀を浜松市の餃子関係者は感じていただろう。
 
無名である浜松市の餃子を、どうにかして全国区にのしあげることはできないか、「浜松餃子の振興・普及」を活動目的にする浜松餃子学会は知恵を絞ったのであろう。このころ、浜松市はすでに政令指定都市になることが決定していた。いずれ、浜松市の「ぎょうざ」消費額は明確になり、晴れて浜松市の実力が認められることになる。だが、それはおそらく第二位であろうことも予測できる。「一位じゃなければいけないんですか、二位ではダメなんですか」と発言して有名になった政治家がいた。浜松餃子学会は、「二位ではダメだ」と考えたのだろう。浜松餃子学会は、ホームページで「『浜松餃子こそ日本一』というメッセージを全国に発信する」ことが活動のポリシーだとしていた(いまは「浜松市が浜松餃子という餃子の街であることを全国に発信する」と変わっている)。家計調査で一位がとれればよいが、そうでなければ「浜松餃子こそ日本一」である機会は永遠に失われるかもしれない。家計調査に浜松市が登場する前であれば、宇都宮市と浜松市を比較する共通の統計は存在していない。浜松市が、独自の調査で宇都宮市よりも高い金額をしめすことができれば、それを完全に否定することはできない。だとすれば、「浜松餃子こそ日本一」であることを宣言する機会は、今しかないことになる。浜松餃子学会は浜松市長に独自調査を要請し快諾を得た。このとき、浜松餃子学会が描いたシナリオが始動した。
 
浜松餃子学会が描き、浜松市が乗ったシナリオは、独自調査で日本一を作り上げることであった。無名だった浜松市を有名にする手段としては、これは非常に有効であった事はその後の経過が示している。だが、そのためにとった強引な手法は、悪名につながっているのも事実である。それを承知で、浜松市と浜松餃子学会は有名になりたいばかりに悪名を選んでしまった。だとすれば、いずれ、そのツケは払わなければならない。

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