餃子の街の駅弁当
2 復刻されたおにぎり駅弁
平成17年(2005)に宇都宮駅は開業120年をむかえた。駅弁の歴史も120年目ということになる。これを記念して、駅弁第1号の復刻版がお目見えした。120年前の販売元である白木屋旅館はすでに廃業しているので、宇都宮駅の駅弁店・松廼家が販売した。タクワンを添えたおにぎり2個と、120年前と同じだが、値段ばかりは5銭とはいかず、300円になっている。前回に米の価格から算出した386円よりは多少安いが、ほぼ同じような設定である。
掛紙(駅弁の包装紙)をみると、大きく「~駅弁発祥地~ 宇都宮」と題し、「明治18年7月、宇都宮駅開業と同時に、ごま塩おにぎり2個を竹皮で包み5銭で売り出したのが、駅弁の始まりと言われています」と由来を説明している。加えて、駅弁販売のユニホームにも触れている。上着は紺無地の法被で、襟の左に駅名、右に販売店の屋号が記されていた板は紺の股引に腹掛け、黒羅紗の帽子と、かなり凝っている。今では、ホームでの立ち売りはほとんど見られなくなってしまったが、ホームに停車中の蒸気機関車の脇で、ユニホームできめた販売員が駅弁を売る姿を想像すると、なにやら楽しくなってくる。
これより前、平成14年(2002)から「大人の休日汽車瓣当」が、やはり松廼家から販売されている。容器の真ん中には、2個のおにぎりが竹皮に包まれている。掛紙には「駅弁発祥地より」と但し書きにあるように、元祖駅弁を意識してのものだろう。復刻版の掛紙は、これをアレンジしたようだ。おにぎりは、ごまと梅、タクアンでは匂ってしまうせいか、子茄子のたまり漬けに替えてある。さすがに、これだけでは寂しすぎるので、煮物(人参・里いも・こんにゃく・牛蒡・たけのこ)、鶏牛蒡の肉だんご、ひなかつ(栃木県特産ひな鶏のカツ)を左右に配してある。元祖と比べると、かなりの豪華版である。値段も、300円とはいかず、800円に設定されている。